「大志を抱け」ではなく、「志を育てよ」

毎日1時間をビジネスマネジメントの勉強(および毎日30分を英語の勉強)に当てています。というのも年々、研究活動・グラントの量が増加し、MGH救急部やNIHでのリーダーシップの仕事が増えてきたからです。年齢ですかね。よって、昨年より一人のプレーヤーであることを辞め、フェローの先生がたが最大限力を発揮できることを目標とするマネジャーに仕事のtransitionをしました。

成長のために、ビジネス書をよんだりオンラインコースを受講しています(およびMGH Leadership Programに選抜されたり)。米国ビジネススクールのexecutive education coursesもいいのですが(値段は高い)、Globisによる「グロービス学び放題」を楽しんでいます。僕のようなマネジメント初心者が、まずは「広く浅く」学ぶ目的によく適しています。値段もお手頃だし、スキマ時間でも学びやすいように工夫されています。「広く浅い」のはもちろん欠点でもあるのですが、そこから深めていけばいいので。


若い先生方にも参考になりそうな授業がひとつ紹介しますー『志を育てる』というもの。そこでは志は「一定期間、人生をかけてコミットできること」と定義されています。ところで、「志」と聞いて思い浮かぶのはクラーク博士が札幌農学校の生徒に送った “Boys, be ambitious”「 少年を大志を抱け」という言葉ですよね。この授業ではやや違う考え方を紹介しています。

それは、志は「一生を通じてというものではない」「紆余曲折を経ながら、それ自体も変化しながら、小さな志を積み重ねながら、成長していく」というもの。実際に自分の軌跡を振り返ると同様でした。一方で「大志を抱け」という言葉はやや重圧ですよね(僕にとってもいまだに重圧です)。大志イコール「世界に3億人いる喘息患者をオレの研究で救う」みたいな。。。さらには、ともすると若者を「自分は何がしたいのだろう」という自問自答の悪循環に追い込んでしまいそうです。

そうではなく、メッセージは「小さな志をひとつひとつ積み重ねて育てていけばいい」という実際的なもの。
そのステップを簡単にまとめると:

  1. たった今もっている小さな志(一定期間コミットしているもの)をしっかり全力でやり切る。たとえば、臨床研修中は100%研修にコミットする、研究留学したらしっかりその期間は研究に全力を注ぐ、などでしょうか
  2. 次に、自問自答の前に、自分の実力と成果を客観的に理解して位置付ける
  3. 客観視をしながら自問自答をする。この際、「何をしたいのか」だけではなく、「自分の価値観とは」「自分にとって何が大事なのか」を考える
  4. 新たな、もうすこしだけ大きい志を立てる(もちろん、このステップには事前準備・能力開発・ネットワーキングが必要)

このサイクル・積み重ねによって志が育ち、大志が形作られていく。


あなたが今もつ「小さな志」は何ですか?
それを近頃やり切ったならば、次の「すこしだけ大きい志」は何でしょうか?

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