研究者の発表・講演の心構え:3つのポイント

ここ1ヶ月ほど重厚なNIH スタディセクションのレビューおよびプレゼンの連続で忙しいかったです。ブログ更新も途絶えていました。

ところで今回は研究発表・講演の話題。僕は一般的に発表があまり好きではないので、講演などはあまり積極的にやることはありません(public speakingで緊張しないですが、単に面倒くさいという怠慢さ)。とはいえ断れない発表・講演もあり(とくに仕事のパートナーであるNIH系)、先月はNIH関連の講演、AAAAI (米国アレルギー学会)の招待講演、UCSFでのgrand roundなどが固まりました。一つ一つaudience, interest, scopeが違いますから、それぞれにそれなりの準備が必要となります。


僕が研究発表・講演で気をつけていることを三点あげます(役に立つかはわかりませんが):

  1. すべての研究発表・講演はjob talkと心得る。別に転職先を探しているわけではないですが、それくらいの覚悟で一つ一つの機会を活かすという心構えでしょうか。キャリアにおけるcreditは一つ一つの質の高い仕事の積み重ね。そしてそれを失うのは一瞬です。  

  2. 発表・講演はaudienceのためにある(発表者のためではない)。当たり前に聞こえますが、この必要条件を満たさない発表・講演はふんだんにあります。例えば英語スライドが読み原稿になっているもの(経験ありませんか?)。この場合、発表者がスライドを読み上げるより聞き手が読む方が速いですから、後者にとってきわめてfrustratingになります。

  3. 事前準備では発表原稿をつくり3回リハーサルする。以前は原稿なしで数多くリハーサルしていたのですが、結局は原稿を作るプロセスがあった方が効率よく質も高まることに気付きました。細かい文法ミスも防げますし (“a”, “the”が抜けたりとか)、書いているうちに原稿を覚えるので。


番外編: 自分の発表を録音・録画するのもオススメ。”ah”, “um”などの多用など、自分の気づいていない癖は誰しもあるもの。これらfiler wordsの使用はある程度は仕方ないのですが、あまり多いと自信なさげに聞こえますし、そもそも聞き手にとって不快です。こういうことを正直に指摘してくれる人はあまりいません(「チャック開いているよ」みたいな感じ?)、自分で気づくシステムを構築しましょう。


他にもいろいろとポイントがあります。しかしながら、ほとんどの人は体系的に研究発表やプレゼンの仕方を学んだことはないと思います(僕もありませんでした。見て盗むスタイル…)。

そこで、ひとつ良い書籍があります。”Better Presentations”というシンプルな題名な本を翻訳したもの。医学研究のプレゼンに特化し、準備の仕方、心構え、スライドのコツ、話し方など体系的にカバー。翻訳も悪くないです。かなり参考にしています。お勧めします。

できる研究者のプレゼン術 スライドづくり、話の組み立て、話術

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