グラントのレビューを疑似体験

我々の研究室では毎週1時間を割いて共同の勉強会 (Fellows’ Seminar) をしています。
フェローの先生方および僕が持ち回りで、methodologyのレビュー、論文の書き方, 自分の研究の発表などなど、様々なトピックで一緒に学んでいます。

前回のFellows Seminarは”mock NIH grant review section”。
つまりNIHのR01グラント(5年間で約$4 million)のレビューワーとその査読会議 (study section)を疑似体験するというトピック。

グラント(研究助成金)を得ることは研究者としてもっとも大事なことの一つ。
そのためにはいつくかの要素(例:もちろん良いアイデアと方法、パイロットデータ、自分の研究実績、共同研究者とそのコラボレーションの実績、研究環境)が必要ですが、グラントを書くこと自体にそれなりの技術・戦略・戦術が必要。
そのために勉強になる方法が二つ:
-(グラント獲得実績の豊富な)メンターについて自分でグラント申請書を書く
– グラントのレビュープロセスを実体験してみる

というもの。後者については、僕もNIHのstudy section (レビューワーたちによる査読会議)を経験してきて非常に勉強になりました。1つのグラントをレビューするのに3-4時間。それを5つほどレビュー、そして1-2日を費やしてのstudy sectionですから大変です。しかしグラント申請とは自分の研究アイデアのセールスですので、買い手 (fundする組織) およびその評価者(レビューワー)の気持ちを知ることは貴重な経験です。実体験ができなくとも疑似体験でも勉強になるはず!

疑似的なNIH study sectionのビデオがYouTubeにあります。見てみれば雰囲気が伝わるかと思います。
Mock NIH Study Section Grant Proposal Review Edited – YouTube
実際はもっと長くて、一つのR01グラントあたり25分くらいを費やして議論します。

今回のFellows’ seminarの流れです。
1. 疑似的なR01グラント(60ページほどの簡易なもの)を一つ事前配布。フェローの先生はレビューワーとしてじっくり査読。
2. その査読内容をNIHの実際のクライテリアに沿って評価 (overall, significance, innovation, investigators, approach, environmentについて長所・短所をそれぞれ)およびスコアをつける。ここまでが事前の宿題。
3. Fellows’ seminarではそれぞれがレビューワーとして議論。つまり
4. まず各人がpreliminary scoreを発表
5. その根拠となる長所・短所を発表、さらにみんなで内容の議論
6. 各人がfinal scoreを発表
7. 最後にみんなでdebrief. レビューワーとして感じたこと(例:peer pressure)、グラント申請のスコアを良くする(もしくは悪くする)であろうポイントを議論。

今回は宿題ありで大変でしたが勉強になったようでよかったです。

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