Simulation Lab

ボストンに来て約半年が経ちました。これまで麻酔科医として臨床に従事してきた環境から、大学院で学問と研究に没頭する生活は新鮮ながらも、改めて患者さんから受け取っていた恩恵や臨床教育の楽しさに気づかされます。これまで、私が感じていた医師としてのやりがいは、患者さんとその家族の笑顔や感謝から生まれるものであったり、後輩の成長から感じていたものだったと思うことが度々あります。また臨床を離れたことによって感じる不安も想像以上でした。

そこで、臨床や教育に携わる機会がないか常々考えていたのですが、長谷川研究室のあるMGH救急部のフェローの紹介で週1回集中治療のシミュレーションラボに参加させてもらっています。主にMICU(Medical Intensive Care Unit)の入室や急変対応を、内科のインターンやレジデント2-3名に教育する機会を頂きました。ACLSなどの蘇生で用いる人形がシミュレータになっていて、マジックミラーの反対側でPCを使ってバイタルの変動などの制御が可能なシステムになっています。心電図波形を心房細動にしてみたり、鎮静が浅いことを示すために瞬きをさせることもできるなど超ハイテクです。。

例えばショック症例(病態ARDS)など、1ケース20分程度でインターンやレジデントにシミュレーションしてもらい、その後30分程度フィードバックとARDSのミニレクチャー(治療の復習など)でDebriefingするという流れです。朝7時から、緊迫した空気のなか患者さんのバイタルの変動に対応してもらいつつ、適切な診断治療まで行ってもらうという、ものすごくストレスフルな状況ですが、現場ではこれが毎日起きていることを彼らはローテーションを通して知っているので非常に熱心に参加してくれます。

これまで中心静脈穿刺や気管挿管など手技のタスクシミュレーションの機会はたくさんありましたが、このようなsituation basedなシミュレーションを教育者側で教えるという機会はなかったので、毎回シナリオを予習しながらこれまで診た患者さんを思い出して、最新の治療をup to dateで確認するという作業が大変勉強になっています。研究に使いたいclinical questionをふと思いつく瞬間も多々あります。

麻酔科のシミュレーションにも興味があるところですが、今年は研究第一に頑張っていきたいと思う新年です。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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