COVID-19の中での通常生活と遠隔授業

先日、Johns HopkinsのBloomberg School of Public Healthのfacultyとwebinarに参加させてもらいました。iHopeの福原俊一先生が主催のwebinarで、出させてもらったんですが、Deanを含め錚々たるメンバーの中で僕が話させてもらえるのは光栄でした。その中ではアメリカの臨床研究の最前線を紹介させてもらいました、特にmachine learningのtranslational researchへの応用などは日本ではあまり聞けない話題だと思います。再聴講したいとのリクエストが多かったとのことで、参加した人はまだ聞けるようになっているとのことです。

さて、COVID-19の影響でHarvard大学も授業は遠隔授業にきりかわってます。
数日前にはHarvard Medical Schoolの所属のprogramのresearch dayがありました。例年ならば講堂での発表なんですが、今年はZoomでの発表でkeynote speakerの発表もZoomでした。私も研究の1つをpresentationしましたが、Best Presentation Awardを頂くことができました。昨年も別のテーマで発表してこのawardもらったので2年連続でもらえました。これもメンターのおかげです。Zoomでお礼言いました(笑)

Bostonの街はsocial distancing中ですが、それほど大きな変化はありません。そのぐらい街全体がうまく機能しています。我々も通常業務と変わらなく仕事もできてます。アメリカに来て気づいたのはオンラインで済ませれるものが多いです。でもよく考えてみたらこれは日本が遅れてることの裏返しではないかと最近感じています。確実にデータサイエンスの世界では中国、アメリカを追いかけてるのは間違いないです。先日、メンターに教えてもらった動画は僕にはショックでしたが、最後の
”この国はスクラップアンドビルドでのし上がってきた今度も立ち上がれる” のシンゴジラのセリフに妙に納得したところで、自分も典型的な日本人だなと感じてしまいました (笑)

シン・ニホン | 安宅 和人 | TEDxTokyo – YouTube

オンライン教育を一つ考えても、日本の教育がいまだに暗記重視のテストという評価方法に固執してるからそこから抜け出せないんだろうなぁと思います。日本ではこんな時期にオンライン教育を単位にみとめるか?とかsocial distancingを推し進めようにも出勤簿にハンコ押さなければいけないとか残念な話も聞きます。

米国の大学院のresourceで恵まれているのはオンラインの環境がいくつも用意されてます。Webex, Zoom, Skype for Businessなど他にも色々有りますし、Canvasという大学の中のシステムにも遠隔授業を組み込めるようになってます。そのほかにもHarvard Catalystがあるので多くの遠隔授業が病院関係者にされています。対面授業も日本にありがちな従来の対面授業よりはflipped classroomが多いです、つまりrequired readingと課題が与えられていて、遠隔授業で先に授業を受けておきます。対面授業はそれに関してdiscussionしていくので皆予習してきます。ビジネススクールのように発言を記録する専門の人はいませんが、発言内容は大事ですし、予習してこないと英語ができるできないの問題ではなく中身のない発言しかできません。

遠隔教育は米国では当たり前の教育ツールの一つです。遠隔教育に多大なる影響を与えたのはCouseraとedXです。CouseraはDeep learningの巨匠のAndrew NgとDaphne Kollerが作りました。
https://www.ted.com/talks/daphne_koller_what_we_re_learning_from_online_education/transcript

私も日本にいた頃、この2つをよく受講していました。Rはこれでほとんど勉強したと思います。僕が米国の大学院に興味持ち始めたのはedXでThe Analytic EdgeというMITの授業も受け始めた頃でした。
https://www.edx.org/course/the-analytics-edge

この授業を受けた時にこんなに面白い授業受けれることに感動したのを覚えています。これはMITの初級コースなのでこれぐらいはわからないと米国での大学院は厳しいですが、cybermetricsなどは映画Money Ballそのもので面白かったです。これに出会わなければアメリカでの大学院教育を受けようなんて思わなかったと思います。

日本にいてまだRの使い方もままならなかった頃に色々受けていたので面白かったのをいくつかあげておきます。出来るだけ基本的なコースにしておきます。昔受けたものなのと、ある時期にしかやらないのもあると思いますので定期的に確認してみてください。深層学習とかではもっと本格的なのもありますし、勉強になります。自分のレベルに合わせて受けてみるといいでしょう。

1. The Analytic Edge (edX)
https://www.edx.org/course/the-analytics-edge

2. Data Science Specialization (Cousera)
データサイエンス | Coursera

Hopkinsの授業です。Rで進んでいきます。いくつかcourseがあるので好きなのからやるといいでしょう。

3. Policy Analysis Using Interrupted Time Series (edX)
Policy Analysis Using Interrupted Time Series | edX

Interrupted time series analysisの総論とRでの実装が勉強できます。ITSは解析の仕方が色々ありますが、その中の1つの手法のみカバーしてます。BMJの論文のreplicationができるdataもあったと思います。

4. Causal Diagrams: Draw Your Assumptions Before Your Conclusions(edX)
Causal Diagrams: Draw Your Assumptions Before Your Conclusions | edX

Directed acyclic graphの総論です。疫学なので特にcomputingの必要はないです。今の大学院のfacultyの授業です。これは授業受ける前に受けておくように言われ受講してるのが前提で授業はこれを踏み込んだものになってました。

5. A Crash Course in Causality: Inferring Causal Effects from Observational Data(Cousera)
A Crash Course in Causality: Inferring Causal Effects from Observational Data | Coursera

ペンシルバニア大学からラトガース大学の疫学部門に移ったJayson Royの因果推論の基礎の授業です。Rで実装してます。昨年、これのadvanced courseを受けにラトガース大学に行きました。すごく綺麗な大学の街で、日本の藩士たちが昔多く留学していた伝統ある大学です。

6. Survival Analysis in R for Public Health(Cousera)
Survival Analysis in R for Public Health | Coursera

Imperial College Londonの生存解析の基礎のコースです。難しい生存解析は扱いませんが、生存解析の基礎とCox regressionは勉強できます。Cox regressionを使うならば、Assumptionの評価とviolationの時の対応は大事です。まずは基礎をしっかりと。他にも解析方法は色々ありますが、今のfacultyはpooled logistic regression (discrete-time model)とstandardizationを用いたadjusted survival curvesを推してます。また昨年、Paul Allisonのadvanced survival analysisの集中講義を聞く機会がありましたが彼が元となるdiscrete-time modelを1982年に発表してます。

他にも沢山いい授業ありますので興味見つけては受けてみてはどうでしょうか。と同時に日本の教育体制や研究環境が抜本的に変わってくれることも切に願います。

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