世界有数の免疫学者、本庶佑先生の素晴らしいエッセイを紹介します。
(今日になって今年のノーベル賞に受賞したことを知りました!)。
素晴らしいので全文を読むことをお勧めします(ここには一部を紹介しています)。
“研究者の醍醐味とは、私にとっては誰も見向きもしない岩からのわき水を見つけ、やがてその水を次第に太くし、小川からやがて大河にまで育てることである。また、山奥に道なき道を分け入り、初めて丸木橋を架けることが私にとっての喜びであり、丸木橋を鉄筋コンクリートの橋にすることではない。多くの人がそこに群がってくる時は、丸木橋ではなく、既に鉄筋コンクリートの橋になっており、その向こうにある金鉱石の残りをめがけて多くの人が群がっているのである。その結果得られたものが、高価であるからといって、本当にそれが独創的な研究であろうか。独創的な研究は、おそらくその研究が20年経ってもまだ引用されているかどうかによって決まる。…
私は教室の若い人に優れた研究者になるための6つの「C」を説いている。すなわち、好奇心 (curiosity) を大切にして、勇気(courage)を持って困難な問題に挑戦すること(challenge)。必ずできるという確信(confidence)を持って、全精力を集中(concentration)し、そして諦めずに継続すること(continuation)。その中でも最も重要なのは、好きなことに挑戦し続けること(curiosity, challenge, continuation )の3「C」である。これが凡人でも優れた独創的と言われる研究を仕上げるための要素であると私は考える。 “
こんにちは。今日、偶然こちらのサイトを訪れた者です。本庶先生の文章は、私も以前、STAP細胞の事件についてのコメントを読んだときに感銘を受けました。分子生物学会のウェブサイトに載っています。
https://www.mbsj.jp/admins/committee/ethics/20140704/20140709_comment_honjo.pdf
その中で次の一文に、本庶先生の科学者としての批判精神と謙虚な姿勢を感じました。
「論文が出版されてから20 年以上も生き残る論文というのはいわゆる古典的な論文として多くの人が事実と信じるようになる論文で、まず20%以下だと考えております。」
このコメントの最後は、ちゃっかり自分のPD-1の研究の話にもってきているところが微笑ましいです。