セミナー参加 Introduction to Network Medicine

昨日からIntroduction to Network Medicineという三日間のセミナーに出席しています。

従来の疫学的手法だけでは解き明かすことができないブラックボックスへのアプローチとして、Omicsを少しでも理解したいというのは留学当初から頭にあった思いでした。

私の理解は10年ほど前の医学部時代に、どうやらGWASというのが流行っているらしいという程度で止まっていましたが、今はGWASの限界を受け入れ、ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームといった莫大な情報を統合させて理解を進めようという方向で、そこにネットワーク理論を取り入れたのが現在地であるそうです(といってもそれ自体もすでに10以上年前に紹介されている話 Barabasi AL. N Engl J Med. 2007 Jul 26;357(4):404-7.)。ここ数十年の間に大きなパラダイムシフトが何度も起きている分野で、ついていくだけでもとても高いハードルに感じます。

しかしながらこの分野からの知見として、従来完全に別の疾患としてみなされていたものに共通の関連遺伝子が同定されたり、症候群とされていた疾患概念のmolecularレベルのネットワークが同定され、同時にその上流にありそれらをRegulateする因子が同定されるなど面白いデータが蓄積されてきています。この先数十年のスパンで、様々な疾患がこうした知見をもとに再定義され、新たな治療ターゲットを生み出す素地になるであろうとされています。従って私のようにこの分野に苦手意識を持っている臨床医にとっても決して避けて通れない領域であるといえます。

このNetwork Medicineの分野はまさにチームワークの結晶といったアプローチで、臨床医、生化学者、物理学者、統計学者、疫学者など様々な分野のExpertが集まって仕事をしています。
それを体感させるためにこのセミナーでも参加者がスモールグループに振り分けられました。私のチームは、すでにBrigham and Women’s HospitalでPIとして活躍しているDr、Boston Children’sのBasic researcher、MGH Urology所属のBioinformatician、HSPHの疫学者、ResearcherでありながらHMSのマネージメントにかかわっている人など多彩です。自分がこのチームでどんな貢献ができるか。アメリカに来てから日々自分の居場所(逃げ場ではなくてPositiveな貢献ができるポジション)を探すのがとても大切なことだと実感させられます。

折角いただいた機会ですので、可能な限りの収穫をもって帰りたいと思います。

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