マイクロバイオーム、機械学習、因果推論を統合した論文が出版されました

MGH救急外来もだいぶ騒がしくなってきました。僕は多めのシフトをボランティアしていますが、ラボ自体は通常運転(リモートワークで)しています。

フィンランドからのリサーチフェロー, Laura Toivonen女史の快進撃が続きます (昨年も複数のグラント獲得、トップジャーナルに筆頭で3本出版)。
3人の子供を育てながらですから、その努力には頭が下がります。

今回はフィンランドのコホートデータを使った研究が Clinical Infectious Diseases (感染症領域のトップジャーナル)から出版されました(オープンアクセスです):
Antibiotic treatments during infancy, changes in nasal microbiota, and asthma development: Population-based cohort study

リサーチクエスチョンは1) 乳児期初期の抗生剤投与と喘息発生の因果関係および 2) その因果関係が気道マイクロバイオームの継時的変化によって媒介(mediate)されているか、というもの。

クエスチョン自体はいたってシンプルですが、これらをvalidに答えるのは非常に難しく、RCTでも基本的には不可能です。
この研究では、まずはマイクロバイオームの継時的変化を機械学習の一手法によってクラスター化、それを反事実(counterfactual)フレームワークをつかった因果媒介分析(causal mediation analysis)にfeedする合わせ技を使い、かなりnovelな知見を出すことに成功しました。
質の高い観察研究だからこそできる研究です。

臨床医、公衆衛生関係者、研究者すべてにインパクトのある結果になっています。

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