人工知能と医療、元国防長官の講演

今週ボストンで開かれた2019 World Medical Innovation Forumというカンファレンス(ハーバード関連病院による主催)に、invited panelistの一員として末席を汚してきました。今回の議題は医療とAI。僕の話はよいとして、ひとつ非常に面白い講演があったので紹介します。

2015-2017年にアメリカ国防総省長官を務めたAsh Carterの講演。YouTubeから見ることができます。

彼は出自も独特ーオックスフォードとで理論物理の博士号をとって、なぜか国防畑に出自し、国防長官まで務めるという異例の経歴。その辺りの背景も面白いのです(マンハッタン計画を作り出した物理学者たちの一弟子として、科学の進歩とその規制のバランスを学んだ)が、さらに印象的だったのは、

  • AIが兵器として使われた際に、人間の責任はどこにあるのか。国防総省長官としての判断とその理由を話しています。これは国防と医療というハイステークな領域におけるAIと人間の関係を考えることにつながります。もっと卑近な例であれば自動運転と人間の介入の度合いの議論もありますよね。

  • リーダーとして大事にするものは自らと部下に求める高い職業倫理(プロフェッショナリズム)。

  • 将来を憂う彼が現在務めている仕事(AIによる格差社会のさらなる分断、前期大統領選でも問題になったSNSをどこまでどうやって規制するべきか)。

AIのテクニカルな話はないですが、ハイレベルな議論として印象的になりました。彼は良質エリートの代表と言えるでしょう。その後には現政権のDepartment of Health and Human Services長官もでてきましたが、こちらは対照的な(かなり悪い意味で)内容でした(sigh…)。とくかく、この動画はオススメです。

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