人生は短い。オンリーワンを目指そう。

まだ僕の研究者人生は5-6年というところ、まだまだ一人前ではない。そんな短い経験でも振り返ると後悔することがあります。つい最近、話に出たのでカンタンに一番の後悔を紹介します。

それは僕がまだシニアレジデントからリサーチフェロー1年目のころ。MPHはとっていても、もちろん研究の「け」の字ももわかっていない。その時期、日本のあるデータセットを使うことが流行っていて、僕もそのデータを使って数本の論文を出しました。もちろん研究成果自体は意味のあるもので、インパクトのある研究だったはずです。それは問題ではない。

しかしながら、それらは誰もが使えるデータセットで、誰もが思い浮かびそうな研究アイデア(例:心停止予後の地域差はすでにアメリカからいいデータがあった)を、人よりちょっと早く論文にしただけに過ぎなかった。僕がやらなくても1年後には誰かがやっていただろう。

Incrementalであることはサイエンスの基本。しかしながら、僕個人はこういう研究をしてはいけないと思うようになってきた。一回限りの人生を使うならば、僕にしかできない研究をやるべきだ。自分がやってはいけないことは、誰もができることをいち早く出版しナンバーワンを目指すこと。目指すならばオンリーワンになるべき。他の誰かができる研究ならば、それが意味のあることだとしても、やらせておけばいい。

人生は短い。

まだまだこれができているとは思いませんが(フェローの先生方、僕を諌めてください)、オンリーワンを目指す戦略は少しずつ果実をなしていると思います。20年後のビジョンを掲げ、細気管支炎と小児喘息でのオンリーワンを目指している我々のプロジェクトは、NIH Rグラントを3本連続revisionなしで通してきたことにもつながったはずです。

利根川進の言葉の言葉にこんなものあります:
「一人の科学者の一生の研究時間なんてごく限られている。
研究テーマなんてごまんとある。
ちょっと面白いなという程度でテーマを選んでたら、
本当に大切なことをやるひまがないうちに
一生が終ってしまうんですよ。」

面白いことに、本庶先生も似たようなことを言っていますね:
本庶佑先生のエッセイにあります。

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