リジェクトされた論文の再投稿時に査読者のコメントをどこまで反映させるべきか?

論文を投稿してリジェクトされるのは日常茶飯事ですが、editor kickではなく査読付きでリジェクトされた場合に、その査読者のコメントを次の雑誌に投稿する際にどこまで反映させるか?それとも反映させないのか?は結構な悩みどころです。さっき僕が解析担当した論文が某雑誌に蹴られたのですが、結構な量の査読者のコメントが付いていました(IF10以上のかなり良い雑誌だったので残念です)。筆頭著者はそこまで研究経験があるわけではないので、僕たちに「次どうしよう?」と相談のメールを送ったところ、別の経験豊富な共著者から下記のようなコメントがありました。このような筆頭著者からの質問は僕たちも研究を指導していてよく経験します。

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1st author: Unfortunately the manuscript got rejected from ***. Which journal to submit to next?

Co-author: あなたが first/corresponding authorだから、まずはあなたがどうしたいかを教えてください。それから私たちがあなたの意見に関してコメントします。
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これはもっともで、まず自分はどう考えるかを述べろと言っています。実はこういう風に相談を受けることが結構多く、まあ仕方ないように思う反面、確かに丸投げしているとも取れます。指導する側としてはこの辺、ちゃんと当事者意識を持って(なんでもいいので)自分の考えを言ってくれる人はありがたいなとは思います。個人的には、JEMNet論文マニュアルでも書いていますが、最初から投稿先は3つは考えておくことが望ましいです(通ったらラッキーなところ、半々で通るところ、まず間違いなく通るであろうところ)。3回以上のリジェクトはお蔵入りになる可能性が高いので、3本目で確実にアクセプトされたいところです。「その通るかどうかの見込みがわからない」というのはもっともですが、インパクトファクターや、その雑誌にどのような研究が投稿されているか下調べをして、投稿先を考えるというのも大事なプロセスだと思います。数打ちゃ当たるだと打ってる間に疲弊して時間ばかりが経っていきます。

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1st author: Which of the comments should we incorporate?

Co-author: WORDに査読者のコメントをコピー&ペーストして、それに簡潔な返事を書くようにするのは良い練習です(箇条書きで良い)。そして、そのWORDファイルに対してみんなからフィードバックをもらうのが、次の投稿のためのreviseにもっとも良い方法だと思います。ゴールは、査読者のコメントを下記のようにグループ分けしてアドレスすることです。

– important, we can change
– important, we cannot change → add to limitation
– not so important but we can change (eg, for clarity)
– not so important and we cannot change → ignore
– wrong and potentially a common complaint → revise/clarify text to prevent this
– wrong and idiosyncratic → ignore … but mindful that if we get same reviewer at next journal that he/she will recommend reject.
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大事なのは「狭い世界だから次も同じ査読者に当たる可能性がある」ということです。その時にコメントが全く反映されていないと次もリジェクトされる可能性が高いから、少しでもアクセプト率をあげるために反映できるところは反映させろと僕も教わりました。

一方で、「変えずにそのまま次に出す」派の先生も多いです。確かに早いですし、査読者のコメントの質が必ずしも高いわけではないので変えると余計におかしなことになる可能性もあります(その良し悪しを含めて見極めることが大事ですが)。何より蹴られた後に修正するのはかなりストレスです。

このco-authorの言っていることは至極正論かつ、彼の言っていることは大体いつもあっているので僕もそうするようにはしていますが、やっぱり書きあがったものにさらに手を加えるのはしんどいなあ、というのが本音ではあります。。

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